日本の保守 、日本のトラウマ その1
- 中国・朝鮮へはどうしても謝罪したくない症候群 -
戦後日本が中国・韓国、朝鮮をウザ!と思い続けてきたのは、
日本の政権の背後に、「旧大日本帝国の正義」と「靖国の英霊」の顕彰・国家護持を掲げるグループ、 未だ国家神道と皇国史観に拘泥し続けている自民党の最右派グループ(現在「日本会議」としてグループ化されている)がおり、
彼らにとってこの二国はどうしてもかっての旧大日本帝国の正義「大東亜戦争 聖戦論」に賛同してくれなさそうだったからである。そして彼らはアメリカには負けたが中国朝鮮に負けたわけではないと強く思い込んでいるからだ。そこには戦前から続く中国・朝鮮への潜在的差別感情がある。
彼らがサンケイグループを中心に仕掛けた「歴史戦」と称する歴史修正主義運動によって現出してきた「嫌中・嫌韓」気分に伴う差別感情はある意味「日本会議」がもつ潜在的差別感情の顕在化である。
但し、 このグループが抱える鬱屈の最大のものは、旧大日本帝国の正義をアメリカに対して主張できないことだろう。
太平洋戦争のアメリカの正義は、 独裁ファシスト国家、旧帝国日本の暴虐支配から諸国を解放し、合わせて皇国史観の呪縛にとらわれた日本国民に自由・平等・民主主義の価値を教え、パックス・アメリカーナの正義を世界に知らしめる。ことであった。
合わせてこの地域、東亜太平洋地域でのアメリカのヘゲモニーの確立である。
そして日本はアメリカを含む連合国にみごとに負け無条件降伏を受諾し、アメリカの正義を受け入れそれを基礎として、新国家「日本国」が生まれた。
彼らの主張したい「大東亜戦争 聖戦論」はアメリカの正義に抵触しアメリカがまず受け入れることののない主張であり、同時に戦後旧大日本帝国を完全否定することで生まれた日本国が国家としては決して主張できないことであることもこのグループの最大の鬱屈となっているとみていい。
そしてその鬱屈が歴史修正主義となって中国・朝鮮の歴史的事実の歪曲否定に向かった。ここを突破して日本国民に「大東亜戦争の真実」を肯定させ納得させようとする歴史戦が始まるのである。